『作品について』
佐々木智広が自らの体験を元に立命館大学の学生時代に書き上げた私小説的作品のリメイク。

<チラシに掲載されたコメント>
ちょっとした知り合いや、テレビ、たまたま手に取った絵本、おばあちゃんの昔話、なんでもないものから語られる物語に、思わず涙した事はありませんか?
初演では、そんなふうに心揺さぶられ、ラストは鼻水たらしながら気付いたら黄金に輝くピラミッドの中にいました。あまりの衝撃にほんもののピラミッドを見てきました。
ほんものより、やっぱりすごかったです。
                          中谷さとみ(劇団☆新感線)



『あらすじ』
病室から出られないタイヨーの唯一の楽しみは姉ナギサが読んでくれる物語だった。
ピラミッドに眠る宝物をさがす冒険者達の物語。
錆びない剣、曲げても割れないガラス、そして闇なお光る玉…。
最後にたどり着いた部屋で冒険者達は罠に掛かって閉じ込められてしまう・・・。

それは、病室のタイヨーととてもよく似た状況だった。
タイヨーを病室に縛り付ける母親。
海に行きたいタイヨー。
姉だけがタイヨーの理解者だった。

単調な毎日をタイヨーは2年間、病室で過ごしてきた。
ある日、事件は何の前触れもなく起きた。
母親の誘拐。
サナトリウムの隠された秘密。
地下に続く階段。
それは姉が語って聞かせてくれた本のなかのピラミッドへとつながる階段。
そして、地底に広がる海。
タイヨーは誘拐された母親を捜しにピラミッドへと足を踏み入れるのだった。

末期症状の患者に鎮痛剤として使われるモルヒネ。
モルヒネがタイヨーにみせた幻の世界。
現実と幻覚、過去と現在の出来事が、タイヨー、ナギサ、母親のそれぞれの思いを交錯させ、
記憶の中の海が静かに語りかけてくる。

海辺に建つ黄金のピラミッド。
そこで遊ぶタイヨー。
ナギサが本を閉じたときすべての物語は幕を閉じていく。


『作品データ』
上演:2003年
    4月25日〜29日 大阪 芸術創造館/5月6日〜7日 東京 しもきた空間リバティ
作・演出 :佐々木智広
出演:タイソン大屋(劇団☆新感線)
   三枝 奈都紀
   斎藤 努
   中原 真治
   我妻 誠
   松崎 史也
   山本 卓
   能登 まり子
   森下 あかね